異性との出会いの場を提供するサイト・アプリは出会い系サイト規制法(※)という法律に則って運営する義務があります。
※正式名称:インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律
しかし当サイトで多くの出会い系(マッチング)サイト・アプリを調査していく中で、この法律を守っていない可能性がありそうなものが多く見受けられます。
なのでこの法律を改めて確認するために、法律とガイドラインを再度読み、不明な点は警察署の生活安全企画課に問い合わせて確認しましたので、解説していきます。
出会い系の定義
まずは出会い系(インターネット異性紹介事業)の定義になります。
先に補足として出会い系サイト規制法の名称ですが、出会い系アプリも該当します。
また異性との通称マッチングサイト・アプリもインターネット異性紹介事業に該当します。
インターネット異性紹介事業とは、面識のない異性との交際を希望する者の求めに応じて、異性交際に関する情報をインターネット上で公衆に閲覧させ、かつ、閲覧した異性交際希望者が電子メール等で相互に連絡することができるサービスを、反復継続して提供する事業のことで、いわゆる「出会い系(マッチング)サイト」・「出会い系(マッチング)アプリ」等と呼ばれています。
以下、定義を説明する条文です。
(定義)
第二条
二 インターネット異性紹介事業 異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下同じ。)を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業をいう。
条文は文章が難しいので、噛み砕いて説明されているガイドラインも見てみます。
1 「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン
1 定義の解説
「インターネット異性紹介事業」は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)第2条第2号において、次のとおり定義されています。
異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業これを言い換えると、「インターネット異性紹介事業」とは、次の①~④のすべての要件を満たすものということになります。
① 面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者)の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること。
② 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること。
③ インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるようにするサービスであること。
④ 有償、無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供しているこ
と。引用:インターネット異性紹介事業の定義に関するガイドライン(警視庁)
これらを簡単にまとめると
「異性交際の希望を多くの異性にアピールできて1対1でやり取りできる」
という感じかと。
ちなみに「異性交際希望者」は、「付き合いたい」だけではなく、肉体関係などの意味も含まれるようです。
○ 「異性との交際」とは、男女の性に着目した交際、すなわち相手が男であること又は女であることへの関心が重要な要素となっている感情(性的な感情)に基づく交際をいい、性交等を目的とする交際に限りません。
○ 「交際」とは、つきあい、まじわりのことであり、他人と知り合い、交流する行為全般をいいます。直接対面して行うもののほか、電話、手紙、電子メール等の手段による会話、文通等の対面しないで行うものも含みます。
○ 結局、「異性交際希望者」とは、性的な感情に基づいて面識のない異性と知り合うことを希望する者となります。
引用:「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン
※強調線はコチラでの加工です。
これに加えて警察の生活安全企画課の方は
生活安全企画課:性別がすぐに分かるような表示があるのも出会い系の定義の大きな要素になりえます。
と仰っていました。
確かにガイドラインをよく見ると
ここでいう「運営方針」については、
・ サイト開設者が示している規約やサイト名その他利用案内、告知等のサイト上の記載等
・ サイトのシステム(例えば、書き込みをした者の性別を表示する機能の有無等)
・ 利用者の規約等違反行為に対するサイト開設者の措置
等の事項から判断することになります。
引用:「インターネット異性紹介事業」の定義に関するガイドライン
※強調線はコチラでの加工です。
とありました。
カエル18号
おおざっぱな定義なのでガイドライン①~④を掘り下げて解説していきます。
出会い系の定義①の解説
ガイドラインの定義の①は
① 面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者)の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること。
になりますが
「電子掲示板に掲載するサービスを提供していること。」
とあり、多くの出会い系は掲示板ではなく自己PRで異性との出会いをアピールしていることが多いので、さっそくその点を警察署の生活安全企画課に質問してみました。
筆者:自己PRはガイドライン①の電子掲示板にあたりますか?
生活安全企画課:会員のプロフィールや自己プロフィールが書いてある部分、これも電子掲示板にあたります。
掲示板がなくてもプロフィールの自己紹介文で異性交際をアピールできるなら、ここでいう掲示板に該当するようです。
つまり定義の①を分かりやすく言うと
「見ず知らずの異性と男女の関係で会える場を提供しているネットサービス」
という具合かと。
出会い系の定義②の解説
定義②は
② 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること。
とあり、この中に
「公衆が閲覧できるサービス」
と難しい表現がありますが、ガイドラインのQ&Aに具体例がありました
(2)「公衆が閲覧できること」の該当性(1の②の要件)
問 会員制のサイトは、「公衆が閲覧できる」とは言えないので、「インターネット異性紹介事業」に該当しないのではないか。
(答)
「公衆が閲覧できる」とは、不特定又は多数の者がインターネットを利用して閲覧できるという意味であることから、会員制であっても、希望すれば誰でも会員になることができ利用することができるサイトであれば、「公衆が閲覧できること」に該当します。
ガイドラインQ&Aによると「会員になれば誰でも見られる」という状態も含むとこ事でした。
なので定義の②を簡単に言うと
「会員・非会員問わず男女の関係希望者を探せるサービス」
といった具合かと。
出会い系の定義③の解説
定義③は
③ インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるようにするサービスであること。
となっています。
ガイドラインによる定義③の補足は
○ 「相互に連絡することができるようにする」とは、サイト開設者が提供する、他人が書き込んだ「異性交際に関する情報」を閲覧した異性交際希望者(閲覧者)が当該情報を書き込んだ異性交際希望者(書込者)に返信することをきっかけとして閲覧者と書込者が相互に連絡することができるようになる機能を利用することにより、異性交際に関する情報を載せた異性交際希望者とこれを見た者との間で相互に一対一の連絡(サイト開設者が介在する場合を含みます。)ができるようにすることをいいます。
○ したがって、「異性交際希望者」同士が電子メールや2ショット・チャット等の電気通信を利用して相互に連絡することができるようにする機能を備えていないサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当しません。
とあるので、電子メール等の「等」は2ショット・チャット等なども含みます。
また補足の最後に
○ また、チャット等のうち公然性を有するものは、一対一の連絡ではないことから、「相互に連絡」には該当しません。
とありますが、これは例えば口コミ・レビューのように誰でも書き込めて他の人も見られるようなモノかと(今は終了したYahoo!掲示板とか)
つまり定義③を簡単に言うと
「男女の関係希望者と誰にも見られず1対1で会話できる機能がある」
という具合かと。
出会い系の定義④の解説
定義④の
④ 有償、無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供しているこ
と。
は、そのままの意味で①②③をメインで提供して無料・有料問わず運営されているという内容です。
これらが全て当てはまるサイト・アプリは出会い系(インターネット異性紹介事業)サイト・アプリとなります。
補足.個人運営でも出会い系の定義に当てはまる
個人運営のサイト・アプリでも出会い系の定義に当てはまります。
以下、そのガイドラインQ&Aです。
問 法人ではなく個人でサイトを運営する場合も、「インターネット異性紹介事業者」に該当するのか。
(答)
「インターネット異性紹介事業者」には、個人・法人を問わず、また、法人格の有無を問わず、「インターネット異性紹介事業」を行う者すべてが該当することから、個人でサイトを運営する場合でも「インターネット異性紹介事業者」に該当します。
カエル18号
定義のおおまかな部分は以上です。
次は定義の線引きが難しいサービスの例を紹介していきます。
出会い系に定義されないサービス
SNSや結婚相談所など、出会い系なのかあいまいなサービスをガイドラインの例から紹介します。
以下、ガイドラインにあった例になります。
※タップ(クリック)で各解説へ
SNS
SNS(ソーシャル・ネットワーキングサイト/アプリ)はハッキリ言って出会い系とそんなに違いないように思えますが、ガイドラインによる説明は以下の通りです。
問 いわゆるSNSは、「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)とは、一般に、会員制をとり、参加者が互いに友人を紹介し合うなどして、共通性を持つ新たな友人関係を広げるサイトのことを言います。このようなサイトは、サイト開設者がサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していない限り、「インターネット異性紹介事業」には該当しません。
なお、サイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことを明らかにするためには、利用規約等においてその趣旨を明確にし、これに基づく措置がとられていることが望ましいと考えられます。
要約すると運営元が「出会い系じゃないよ」などの旨を規約などで明言していれば、出会い系には該当しないようです。
しかしガイドラインには、こうもあります。
問 あるサイトが、開設者が知らないうちに実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、そのサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
自らが運営するサイトが知らないうちに、実質的にインターネット異性紹介事業に利用されていた場合、サイト開設者はサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことから、基本的には「インターネット異性紹介事業」には該当しませんが、異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。
運営元が「出会い系じゃない」と明言していても
- 出会い系として使われている
- 運営元がそれを知りながら放置している
という場合には出会い系に該当する可能性があるようです。
以前アプリの運営元が逮捕された件がまさにそれかと。
カエル18号
X(旧・Twitter)なんかは、そのうち指導が入りそうな内容ですよね…
趣味サイト・アプリ
趣味サイト・アプリは「異性交際」のジャンルが無ければ出会い系に該当しないようです。
以下ガイドラインです。
問 いわゆる趣味サイトは、「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
以下のような、いわゆる趣味サイトであって、「異性交際」を目的としていないものは、「インターネット異性紹介事業」には該当しません。
○ 日々の悩み事を相談するための、面識のない異性の相手とやり取りを行
うためのサイト○ 社交ダンス、テニス等のパートナーを探すための、面識のない異性の相
手とやり取りを行うためのサイト○ 料理等の趣味についての情報交換のための、面識のない異性の相手とや
り取りを行うためのサイト○ 学問についての情報収集のための、面識のない異性の相手とやり取りを
行うためのサイト
ただこれも運営元が「出会い系じゃない」と明言していても
- 出会い系として使われている
- 運営元がそれを知りながら放置している
の場合は、出会い系として定義される可能性があります。
問 あるサイトが、開設者が知らないうちに実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、そのサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
自らが運営するサイトが知らないうちに、実質的にインターネット異性紹介事業に利用されていた場合、サイト開設者はサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことから、基本的には「インターネット異性紹介事業」には該当しませんが、異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。
カエル18号
料理教室に男性が混じれば出会いの場みたいなもんですからね…ネットも然りかと。
メル友サイト・アプリ
メル友もガイドラインによると
- 出会い系としての利用禁止を明言
- 異性交際希望等のジャンルが無い
であれば、出会い系には該当しません。
問 いわゆるメル友サイトは、「インターネット異性紹介事業」に該当する
のか。(答)
通常「メル友」とは、メールを手段として交際する友達を意味しますが、その交際の内容は様々だと考えられます。
例えば、異性交際を目的とせず、男女の別を明示せず友達を募集するサイトなど、サイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないものは、「インターネット異性紹介事業」には該当しません。
一方、「メル友」という名前を付けたサイトであっても、サイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供している場合には、「インターネット異性紹介事業」に該当します。
ただし運営元が「異性交際希望者」などの内容も提供していれば、出会い系に該当します。
または他と同じく
- 出会い系として使われている
- 運営元がそれを知りながら放置している
という場合は、出会い系として定義される可能性があります。
問 あるサイトが、開設者が知らないうちに実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、そのサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
自らが運営するサイトが知らないうちに、実質的にインターネット異性紹介事業に利用されていた場合、サイト開設者はサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことから、基本的には「インターネット異性紹介事業」には該当しませんが、異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。
カエル18号
筆者は出会い系サイト規制法ができるかなり前、メル友サイトで異性と会いまくっていました(笑)
恋愛相談サイト・アプリ
恋愛相談をするサービスも基本的には出会い系に該当しませんが、実際は出会い目的で利用され運営もそれを知りながら放置していれば、出会い系に該当する可能性があります。
問 「異性交際」ではなく「恋愛相談」を目的とするサイトは、「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
単に恋愛について相談すること自体は、一般に男女の性に着目した交際を求めているものとはいえません。しかし、専ら恋愛に関心のある者が利用することから、面識のない異性との男女の性に着目した交際を希望する者に利用され、異性交際を求める書き込みが行われる可能性もあります。この場合、当該書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、「恋愛相談」を標榜していたとしても「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。
カエル18号
恋愛相談相手が異性だと、そのままくっついちゃうことはよくありますからね…
仮想恋愛サイト・アプリ
具体的なサービスがパッと思い浮かびませんが、仮想恋愛を提供しているサイト・アプリは出会い系に該当するようです。
問 利用者同士が直接会うことを禁止しているサイトでも「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
「インターネット異性紹介事業」の定義における「異性との交際」とは、直接対面して行う交際のほか、対面しないで行う交際も含むことから、直接会うことを禁止していたとしても、サイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供している場合には、「インターネット異性紹介事業」に該当します。
カエル18号
「直接会うの禁止」と書かれた出会いアプリは、よく調査で遭遇します。
結婚相談サイト・アプリ
結婚相談サイト・アプリは基本的に出会い系に該当します。
しかし出会い系に該当しないケースもあります。
以下、その部分のガイドラインQ&Aになります。
問 いわゆる結婚相談サイトは、「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
「異性交際」とは男女の性に着目した交際をいいますので、結婚を目的とした交際を希望する者を対象として異性の交際希望者を紹介するサービスを提供することは、「異性交際希望者の求めに応じてサービスを提供していること」に該当します。
ただし、顧客のプロフィールを不特定又は多数の者が閲覧できるようにしていない結婚相談サイト、あるいは、サイトを閲覧した者が他の利用者に対して直ちに電子メール等により一対一の連絡を取ることができるようにしていない結婚相談サイトは、1の①以外の要件を満たしていないので「インターネット異性紹介事業」には該当しません。
ガイドラインによる結婚相談サイト・アプリが出会い系に該当しないケースは以下のいずれかを含む場合になります。
- プロフィールの閲覧を制限している
- チャットなど1対1で連絡ができない
1の例としては、会員に対してコンシュルジュなどが希望・条件などに沿った異性を紹介するようなイメージかと。
2の例としては、こちらもコンシュルジュなどに、会ってみる・会わないを返し、会う場合はセッティングしてもらうようなイメージかと。
カエル18号
高級な結婚相談サービスはコンシュルジュがいるっぽいというのが個人的なイメージです。
出会い系じゃなくても出会い系になる可能性がある場合
出会い系に該当しない場合は基本的に
- 異性交際ジャンルを設けていない
- 利用規約などで出会い系じゃないと説明がある
※改めて「異性交際」とは彼氏彼女だけでなく性的関係なども含みます
といった内容です。
それでも、まれに異性交際の場として利用してしまう邪なユーザーがいると思います。
そのような場合、「まれ」であれば許されるようです。
問 たまたま「異性交際」を希望する旨の書き込みが行なわれたことをもって、「インターネット異性紹介事業」に該当することがあるのか。
(答)
「インターネット異性紹介事業」に該当するには、サイト開設者がサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していることが必要であることから、たまたま「異性交際」を希望する旨の書き込みが行なわれても、それのみでは「インターネット異性紹介事業」には該当しません。
しかし、ユーザーの多くが出会い系として利用している場合は許されない可能性があるようです。
問 あるサイトが、開設者が知らないうちに実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、そのサイトは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
自らが運営するサイトが知らないうちに、実質的にインターネット異性紹介事業に利用されていた場合、サイト開設者はサイトの運営方針として「異性交際希望者」を対象としてサービスを提供していないことから、基本的には「インターネット異性紹介事業」には該当しませんが、異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、「インターネット異性紹介事業」に該当する場合があります。
また運営元が出会い系じゃないとしながらも、こっそり出会い系として運営している場合も許されない可能性があるようです。
問 サイト開設者は「異性交際」を目的としないサイトとして開設しているものの、当該サイトの中に利用者が異性交際希望者を対象としたジャンルを設け、サイト開設者が提供するサービス(利用者間で一対一の連絡をすることができる機能等)とあわせて実質的に出会い系サイトとして利用されていた場合、当該ジャンルは「インターネット異性紹介事業」に該当するのか。
(答)
サイト開設者ではなく利用者が当該ジャンルを設けている場合でも、サイトを更に細分化したジャンルがサイト開設者が提供するサービスとあわせて独立した一つのサイトとしての機能を果たしており、かつ、当該ジャンルの存在や異性交際を求める書き込みを知りながら放置するなどサイト開設者がその利用実態を許容していると認められるときは、当該ジャンルのみについて「インターネット異性紹介事業」に該当し、サイト開設者が「インターネット異性紹介事業者」に該当する場合があります。
当サイトで調査している出会いアプリのほとんどは、この2つのQ&Aに近いケースかと。
この辺りも警察の方に助言頂きました。
生活安全企画課:出会い系じゃなくとも出会い系として利用されている事を運営者が「認知してるか否か」が焦点になります。
との事でした。
カエル18号
「認知」という基準なら、どうとでもいい訳できそうですが、そうはいかなかったのが過去の逮捕例です。
出会い系の運営は届出が必要
運営サイト・アプリが出会い系に該当する場合は、各都道府県の公安委員会に届出をする義務があります。
(インターネット異性紹介事業の開始の届出)
第一条 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(以下「法」という。)第七条第一項の規定による届出は、別記様式第一号の事業開始届出書(次項において「開始届出書」という。)を提出することにより行うものとする。
2 前項の規定により都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に開始届出書を提出する場合においては、事業の本拠となる事務所(事務所のない者にあっては、住居。以下「事務所」という。)の所在地を管轄する警察署長を経由して、当該インターネット異性紹介事業を開始しようとする日の前日までに、一通の開始届出書を提出しなければならない。
この届出が受理されると運営者に「受理番号」が与えられます。
受理番号については都道府県の各警察署それぞれで統一されていない説明だったので、一番分かりやすかった鳥取県警察から引用です。
第3条 署長は、法及びインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行規則
(平成15年国家公安委員会規則第15号。以下「規則」という。)に規定する事業開始届出書等の提出があったときは、別表第2の届出事項等点検基準により、記載内容、添付書類等の形式上の要件に適合しているか否かについて点検した上、適正である場合には届出書を受理し、届出書の右下部余白に警察署受付印及び取扱者印を押捺するものとする。(受理番号)
第4条 署長は、届出書を受理したときは、当該届出書の受理番号欄に別表第3に定める受理番号を付するものとする。
(届出事項等の処理)
届出手続きの詳細は以下のリンク(例として警視庁)より確認できます。
受理番号から業者を確認することは現状不可
上記で紹介した、届出が認可された後に付与される受理番号ですが、現状は受理番号から逆引きして出会い系業者を調べるシステム(サイト)は無いようです。
これも以前、警察に問い合わせて確認しました。
カエル18号
受理番号から業者を確認したいという一般の方は、ほぼいないでしょうからね…
出会い系運営は身分証などによるユーザー年齢認証が必要
インターネット異性紹介事業の届出が受理され実際に運営する際は、ユーザーが未成年ではない確認が必要(年齢認証)となります。
以下、法令です。
インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律
(児童でないことの確認)
第十一条 インターネット異性紹介事業者は、次に掲げる場合は、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、これらの異性交際希望者が児童でないことを確認しなければならない。ただし、第二号に掲げる場合にあっては、第一号に規定する異性交際希望者が当該インターネット異性紹介事業者の行う氏名、年齢その他の本人を特定する事項の確認(国家公安委員会規則で定める方法により行うものに限る。)を受けているときは、この限りでない。一 異性交際希望者の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いて、これに伝達するとき。
二 他の異性交際希望者の求めに応じ、前号に規定する異性交際希望者からの異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いて、当該他の異性交際希望者に伝達するとき。
三 前二号の規定によりその異性交際に関する情報の伝達を受けた他の異性交際希望者が、電子メールその他の電気通信を利用して、当該情報に係る第一号に規定する異性交際希望者と連絡することができるようにするとき。
四 第一号に規定する異性交際希望者が、電子メールその他の電気通信を利用して、第一号又は第二号の規定によりその異性交際に関する情報の伝達を受けた他の異性交際希望者と連絡することができるようにするとき。
年齢認証は「18歳未満ですか?はい/いいえ」のようなユーザー申告制ではなく、法律により以下のどちらかによる年齢認証が必要です。
- 身分証提出による年齢認証
- クレジットカード決済による年齢認証
以下、消費者庁による年齢認証の説明です。
児童でないことの確認
インターネット異性紹介事業者は、インターネット異性紹介事業を利用する者が書き込みや閲覧をしたり、利用者同士がメール等で連絡を取り合ったりする際に、児童でないことを確認することが義務づけられています。従来は、利用者の自主申告により確認することが認められていましたが、平成21年2月1日からは、原則として、利用のつど、次の①又は②の方法をとるか、あるいは①または②の確認を受けた者に ID、パスワードを付与し、利用の際には当該識別符号の送信を受けることが義務づけられます。
①インターネット異性紹介事業を利用する者の運転免許証、国民健康保険被保険者証その他の年齢又は生年月日を証する書面のうち、
ア 年齢又は生年月日
イ 書面の名称
ウ 書面の発行・発給者の名称
に係る部分について提示、写しの送付又は画像の送信を受けること。
②クレジットカードでの支払いなど児童が通常利用できない方法によって料金を支払う旨の同意を得ること。
引用:出会い系サイト規制法の改正(消費者庁HP)
身分証と聞いて身構えると思われますが、実際は以下の部分以外は隠して(塗りつぶして)提出でも可となっています。
- 年齢又は生年月日
- 書面の名称
- 書面の発行・発給者の名称
自動車免許証だとこんな感じです。
ただし近年のマッチングアプリなどは、年齢認証と併せ本人確認を行っているところが多いため、塗りつぶしNGが増えています。
ちなみに怖いからと言って身分証を偽装すると文書偽造の罪に問われる可能性があるので絶対しないでください。
(公文書偽造等)
第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
カエル18号
当サイトで調査している怪しい部類の出会い系マッチングサイト・アプリのほとんどは、この年齢認証を行っていないんですよね…
ちなみに出会い系としての機能を見えないようにすれば、年齢認証は自己申告による年齢の確認だけで良いそうです。
・上記にかかわらず、事業者が異性交際希望者に対し、
●異性交際希望者が特定情報(「異性交際希望者と他の異性交際希望者が出会うために指定する日時及び場所に係る情報」並びに「住所、電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先に係る情報」をいう。以下同じ。)を書き込めるようにする役務
●異性交際希望者が他の異性交際希望者に係る特定情報を閲覧できるようにする役務
●異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して他の異性交際希望者に特定情報を伝達することができるようにする役務
のいずれについても提供しない場合は、
(1)異性交際希望者に対し、インターネットを利用してその年齢又は生年月日を送信するよう求め、当該年齢又は生年月日により当該異性交際希望者が児童でないことを確認する方法 又は
(2)異性交際希望者に対し、インターネットを利用して児童でないかどうかを問い合わせ、その回答により当該異性交際希望者が児童でないことを確認する方法
で足りることとなります。
カエル18号
この場合、部分的に制限するのはシステムに無理があるので相手の顔写真を見るくらいしかできなくなると思いますが。
罰則
出会い系サイト規制法に法令違反した場合の罰則は以下になります。
対象 | 罰則 |
---|---|
届出をしないでインターネット異性紹介事業を行った者 | 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した者 | 30万円以下の罰金 |
変更・廃止の届出をしなかった者 | 30万円以下の罰金 |
変更・廃止の届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した者 | 30万円以下の罰金 |
名義貸しをした者 | 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
都道府県公安委員会による指示に違反した者 | 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
都道府県公安委員会による事業停止命令に違反した者 | 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを併科 |
都道府県公安委員会による事業廃止命令に違反した者 | 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを併科 |
都道府県公安委員会による報告・資料提出の求めに応じなかった者 | 30万円以下の罰金 |
報告・資料提出の求めに対し、虚偽の報告をし、又は虚偽の資料を提出した者 | 30万円以下の罰金 |
引用:出会い系サイト規制法の改正(消費者庁)
カエル18号
無届けでも懲役6か月or100万円、その他は最長でも懲役1年or(+)100万円て、ウン億稼ぐ業者からしたら軽微に思えますけどね…
昔、迷惑メールの罰金3千万円なんて大したことないって言ってる業者も居たくらいなんで…
ちなみに出会い系のユーザーが年齢認証なしに未成年と会い性交した場合も、出会い系サイト規制法違反で百万円以下の罰金となります。
第六条 何人も、インターネット異性紹介事業を利用して、次に掲げる行為(以下「禁止誘引行為」という。)をしてはならない。
一 児童を性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)の相手方となるように誘引すること。
二 人(児童を除く。第五号において同じ。)を児童との性交等の相手方となるように誘引すること。
三 対償を供与することを示して、児童を異性交際(性交等を除く。次号において同じ。)の相手方となるように誘引すること。
四 対償を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。
五 前各号に掲げるもののほか、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、又は人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。
引用:インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索 第二章 児童に係る誘引の禁止
第三十三条 第六条(第五号を除く。)の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。
引用:インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律 | e-Gov法令検索 第二章 第三十三条
カエル18号
出会い系サイト規制法による年齢認証がない出会い系は、ユーザー側も刑罰を課せられる可能性は大いにあります。
出会い系サイト規制法のまとめ
以上が出会い系サイト規制法の内容と解説でした。
ユーザー側はこの法令を気にすることは、あまりありません。
しかし気を付けることは
- 無届運営(受理番号の記載がない)
- 年齢認証がない
これらに当てはまる出会い系マッチングサイト・アプリは利用しないという事です。
これらの多くはサクラしかいなかったり、サクラがいなかったとしても犯罪の温床です。
さらに最悪の場合、会えた相手が未成年だとユーザー自身が別の法令違反で逮捕される可能性すらあります。
それも相手が未成年だと知らなかったとしても逮捕される場合もあります
無届運営を見極めるには、サイトならたいてい一番下に「受理番号:××××××××」とあります。
アプリならGoogle Play・App storeのアプリ説明の一番下に大抵あります。
年齢認証は、ほとんどが登録直後にアナウンスがあると思われます。
基本、優良な出会い系マッチングサイト・アプリは、年齢認証をしないと異性にメッセージを送れない仕様になっていると思うので。
カエル18号
それでは優良な出会い系・マッチングサービスで良い出会いを!